余話徒然

余話を徒然に書いていくブログ。本についての感想の「読書徒然」などをメインに。

【読書徒然】 Vol.10 帯のキャッチで手に取った 北氷洋

多くの人もそうなんだろうと思うが、帯のキャッチが本選びの要素になる時がある。特に、初めて読む作家の時はそうだ。今回の本もそういうきっかけで手にとった一冊で、キャッチのとおり、非常に面白かった。

その帯のキャッチはこうだ。

 

 本年度 海外エンタメNo.1・・・

 氷海、暴雪、野獣、そして殺人鬼・・・

 そこは生還不能の海だった・・・

 怒涛のサバイバル・サスペンス巨編・・・

 これは新時代の『白鯨』だ!血みどろにして神聖なエンタテイメント・・・

 ブッカー賞候補作、ニューヨークタイムズ選定2016年ベストフィクション、BBC連続ドラマ化決定・・・

 

タイトルは「北氷洋」で著者はイアン・マグワイア、イギリスの作家だ。舞台は19世紀、イギリスの港から北極海を目指す捕鯨船。鯨の頭数が減ってきて、漁そのものが難しくなりつつあるとともに、世界の燃料ニーズが鯨油から他の燃料へと変わり、鯨油が必要とされなくなりつつある時代。かつて航海で氷山にぶつかり大勢の船員を犠牲にした過去を持つ「鯨はまだまだ捕れる」という、この航海に何かをかける船長。その船長の捕鯨船に、この航海で初めて乗り合わせる、インドでの大反乱(セポイの乱)の時期の軍医経験とその時期の隠された過去を持つアヘン中毒の若い船医や、凶暴な銛打ちなどの曲者。その船内で起こる猟奇殺人から浮かび上がる人間の本性と北極の過酷な自然との戦いのなかでのサバイバル。これら登場人物中、アヘン中毒の若い船医を軸としたストーリー展開。読んでみて、帯のキャッチのとおり、非常に面白かった。BBC連続ドラマ化決定という帯のキャッチにも納得の一冊。

 

 書名:北氷洋

 (ISBN 978-4102201619)

ジャンル:サバイバル・サスペンス

著者:イアン・マグワイア

1964年英国生まれ。マンチェスター大学で学び、サセックス大学で文学修士、その後ヴァージニア大学で博士号を取得。マンチェスター大学で名誉上級講師として創作と批評を教える。2006年『Incredible Bodies』で作家デビュー。『北氷洋』(The North Water )は、2016年ブッカー賞の候補作となり、ニューヨークタイムズの2016年度ベストフィクション5冊のうちの1冊に選ばれ

る。

訳者:高見浩(たかみひろし)

東京生まれ。出版社勤務を経て翻訳家に。主な訳書に『ヘミングウェイ全短編』『日はまた昇る』『武器よさらば』『移動祝祭日』『誰がために鐘は鳴る』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『カタツムリが食べる音』『眺めのいい部屋売ります』など。著書に『ヘミングウェイの源流を求めて』がある。