余話徒然

余話を徒然に書いていくブログ。本についての感想の「読書徒然」などをメインに。

【読書徒然】 vol.11 キャッシュレス、仮想通貨の時代に再読したい「男子の本懐/城山三郎」

キャッシュレス決済や仮想通貨などの浸透により、お金というものの概念が急速に変わりつつある。政府もキャッシュレス主流の世の中への転換を図るべく、消費税UPのこの機に、あの手この手を使ってというニュースを目にするようになってきた。自分の場合はまだ現金を使うことが多いのだが、いずれ少数派になってくるのだろう。

 

数年前、ブロックチェーンというIT技術により、にわかに注目されたビットコインを中心とする仮想通貨は、投資というより投機という感じで、あれよあれよという間にその地位を確立してきている。一時、マウントゴックスや、コインチェックなどでの仮想通貨流出事件により大きなニュースになり冷や水を浴びせられた感もあったが、今でも時折、流出事故の報道は目にするものの次第に小さな扱いになっている印象で、流出もリスクの内という位置づけで、完全に認められたということだろうか。仮想通貨の取引所を運営している企業GMOでは、仮想通貨での給与の支払いの制度を導入したというようなニュースも目にしたが、その是非は別にして、お金というものについての概念が大きく変わって来ているのは間違いがない

 

こんな世の中の環境になってきたためか、近いうちに再読したいなあ思うようになってきた小説がある。城山三郎の「男子の本懐 」だ。

昭和初期、金解禁という自らの信念を貫いていく総理大臣浜口雄幸と大蔵大臣井上準之助の話で、その信念に命を賭して臨む姿が、読む側の心に突き刺さってくる小説であるが、仮想通貨などの今の環境を踏まえながら、読んでみたいのだ。おそらく、何年も前に読んだときとは異なる、新たな見方というものに出会えるだろう。