余話徒然

余話を徒然に書いていくブログ。本についての感想の「読書徒然」などをメインに。

【読書徒然】 vol.13 ヴァージン~僕は世界を変えていく~ リチャード・ブランソン

今年後半のニュースでの驚きのニュースは、やはり、カルロス・ゴーン逮捕のニュースだろう。

 

一時期、経営者自身による自伝的な本を好んで読んでいた頃があったが、「ルネッサンス ― 再生への挑戦」などカルロス・ゴーンの本には縁がなかった。また、機会を見つけて読んでみようと思う。

 

カルロス・ゴーンの本もそうだが、経営者自身による自伝本などは、経営コンサルタントの書いた本とは違い、「それは後付けの理屈じゃないかなあ。」と感じる部分が少なく、面白く読める。特に、危機に直面したときの心理状態だとか、ある意味スリリングであったりする。(もちろん、その中でオーバーに自己肯定しているということは割り引いて考えなければならないにしても・・・。)

そうした面白く読める部分に加え、その中に、何らかのヒントや気づきが得られ、「この部分は自分でも少しは真似できるんじゃないか?」と参考にしたりもする。

 

振り返れば、自分は下記のような経営者の自伝を読んできた。

 

アイアコッカクライスラー) アイアコッカ―わが闘魂の経営

ジャック・ウェルチ(GE)ジャック・ウェルチ わが経営

「マイケル・デル(デル・コンピューター) デルの革命 - 「ダイレクト」戦略で産業を変える

ハワード・シュルツスターバックス) スターバックス成功物語

 

他、色々・・・。

 

上記で例に挙げた本、すべてそうだが、「参考になった。」と感じるところが、それぞれにある。

 

だけど、そうでない経営者本もある。

こういう書き方をすると誤解を与えてしまうが、めちゃくちゃ面白く、とにかく強烈だったのが、ヴァージングループのリチャード・ブランソンの自伝 「ヴァージン―僕は世界を変えていく」だ。

 

ヴァージン・レコードの立ち上げが最初であるが、その後ヴァージン航空から宇宙事業までと、もはや立志伝中の人物だ。この本を読んでいても、一般の人が「自分でもなにか真似できるんじゃないか」と参考になることはない。超個性的で天才的な人間がただただ冒険のように事業を進めていく。ということでふつうの経営者の感覚とまったく違う。

だけど、ただただ面白い。それだけで圧倒されるのである。

 

 

 

 

 

 

 

【読書徒然】vol. 12 クリスマスに何も予定がなければ、「 クリスマスのフロスト/R.D.ウィングフィールド」

まだ、11月半ばを少しばかり過ぎたぐらいだが、クリスマスソングを耳にするようになってきた。

年々、クリスマス商戦というものが早まってきているということを実感するのだが、自分ぐらいの年齢になると、クリスマス商戦もあまり関係がない。

ということで、自分自身は、普段と変わらない日常なのだろうと思うが、「クリスマスなのに何も予定がないのは、どうも・・・」という人は、”クリスマス”というタイトルがついたこの本を読めばいい。読めば、クリスマスに予定がないことなど、どうでも良くなってくる。

クリスマスのフロスト 」R.D.ウィングフィールドによる笑いのセンス抜群の警察小説だ。

自分は、あるシーンを読み進んでいたのだが油断していたため、思わず吹き出してしまった。非常に面白い。逆にクリスマスに予定が入ってなかったことを感謝するぐらいだと思う。

ロンドンから70マイル離れた田舎町デントンを舞台に起こる町で日常的に発生する大小さまざまな難問や小競り合いや事件。そのデントン警察に着任し、その警察の名物刑事フロストの部下になってしまった新任巡査。事務作業の苦手で仕事中毒でひっきりなしに下品なジョークを連発するフロストに、休む間もなく振り回されている中で起こる殺人事件。このフロストと新任巡査のコンビと、フロストの存在が自分の出世の減点ポイントになると考えている見得と保身の塊の所長との間で起こる、嫌味の繰り出しあいなど笑いのポイントが不意をついてやってくる。だけど、事件のストーリーはめちゃくちゃかというと、そうではなくしっかりしているので、読み応えとしてもバッチリである。このフロストを主人公としたシリーズとなっている。

「クリスマスのフロスト」「夜のフロスト」「フロスト気質」が週刊文春のミステリーベスト1位を記録し、「フロスト日和」が「このミステリーがすごい。第1位」となっている。

 

 

書名:クリスマスのフロスト

 (ISBN 978-4488291013)

ジャンル:警察小説

著者:R・D・ウィングフィールド

1928年イギリス、ロンドンに生まれる。石油会社に勤務するかたわら執筆を始め、68年にラジオドラマの放送作家としてデビュー。72年に小説第一作「クリスマスのフロスト」を執筆するも、カナダの出版社から刊行されたのは84年のことである。同書が評判となり、シリーズ第二作「フロスト日和」刊行後に専業作家となる。92年にITVでデヴィッド・ジェイソン主演のドラマ「フロスト警部」が放映。好評につきシリーズ化され、全42話が制作された。2007年没。翌08年に最終作「フロスト始末」が出版される

 

訳者:芹澤恵(せりざわめぐみ)

 

 

【読書徒然】 vol.11 キャッシュレス、仮想通貨の時代に再読したい「男子の本懐/城山三郎」

キャッシュレス決済や仮想通貨などの浸透により、お金というものの概念が急速に変わりつつある。政府もキャッシュレス主流の世の中への転換を図るべく、消費税UPのこの機に、あの手この手を使ってというニュースを目にするようになってきた。自分の場合はまだ現金を使うことが多いのだが、いずれ少数派になってくるのだろう。

 

数年前、ブロックチェーンというIT技術により、にわかに注目されたビットコインを中心とする仮想通貨は、投資というより投機という感じで、あれよあれよという間にその地位を確立してきている。一時、マウントゴックスや、コインチェックなどでの仮想通貨流出事件により大きなニュースになり冷や水を浴びせられた感もあったが、今でも時折、流出事故の報道は目にするものの次第に小さな扱いになっている印象で、流出もリスクの内という位置づけで、完全に認められたということだろうか。仮想通貨の取引所を運営している企業GMOでは、仮想通貨での給与の支払いの制度を導入したというようなニュースも目にしたが、その是非は別にして、お金というものについての概念が大きく変わって来ているのは間違いがない

 

こんな世の中の環境になってきたためか、近いうちに再読したいなあ思うようになってきた小説がある。城山三郎の「男子の本懐 」だ。

昭和初期、金解禁という自らの信念を貫いていく総理大臣浜口雄幸と大蔵大臣井上準之助の話で、その信念に命を賭して臨む姿が、読む側の心に突き刺さってくる小説であるが、仮想通貨などの今の環境を踏まえながら、読んでみたいのだ。おそらく、何年も前に読んだときとは異なる、新たな見方というものに出会えるだろう。

 

 

 

 

 

 

久しぶりのトミーとマツ

テレビをザッピングしていたら、松崎しげる国広富之が旅番組にチャンネルが合った。

「おっ!トミーとマツじゃないか」

と、意識がタイムスリップしてしまった。

 

噂の刑事トミーとマツ」という刑事ドラマで、国広富之扮する刑事トミーと松崎しげる扮する刑事マツのコンビの、はちゃめちゃ刑事ドラマで非常に面白かった。さっそく、アマゾンで検索したところ、有った。う~ん欲しい。

 

 

噂の刑事 トミーとマツ トミーBOX [DVD]

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【エコ徒然】vol.2 ポール・マッカートニーが気候変動を信じる理由を語る。

nme-jp.com

ポール・マッカートニーのようなスーパースターが気候変動の問題に対して語ってくれるのは、世の中の関心を維持していくためにも非常に意義のあることだ。

 

【読書徒然】 Vol.10 帯のキャッチで手に取った 北氷洋

多くの人もそうなんだろうと思うが、帯のキャッチが本選びの要素になる時がある。特に、初めて読む作家の時はそうだ。今回の本もそういうきっかけで手にとった一冊で、キャッチのとおり、非常に面白かった。

その帯のキャッチはこうだ。

 

 本年度 海外エンタメNo.1・・・

 氷海、暴雪、野獣、そして殺人鬼・・・

 そこは生還不能の海だった・・・

 怒涛のサバイバル・サスペンス巨編・・・

 これは新時代の『白鯨』だ!血みどろにして神聖なエンタテイメント・・・

 ブッカー賞候補作、ニューヨークタイムズ選定2016年ベストフィクション、BBC連続ドラマ化決定・・・

 

タイトルは「北氷洋」で著者はイアン・マグワイア、イギリスの作家だ。舞台は19世紀、イギリスの港から北極海を目指す捕鯨船。鯨の頭数が減ってきて、漁そのものが難しくなりつつあるとともに、世界の燃料ニーズが鯨油から他の燃料へと変わり、鯨油が必要とされなくなりつつある時代。かつて航海で氷山にぶつかり大勢の船員を犠牲にした過去を持つ「鯨はまだまだ捕れる」という、この航海に何かをかける船長。その船長の捕鯨船に、この航海で初めて乗り合わせる、インドでの大反乱(セポイの乱)の時期の軍医経験とその時期の隠された過去を持つアヘン中毒の若い船医や、凶暴な銛打ちなどの曲者。その船内で起こる猟奇殺人から浮かび上がる人間の本性と北極の過酷な自然との戦いのなかでのサバイバル。これら登場人物中、アヘン中毒の若い船医を軸としたストーリー展開。読んでみて、帯のキャッチのとおり、非常に面白かった。BBC連続ドラマ化決定という帯のキャッチにも納得の一冊。

 

 書名:北氷洋

 (ISBN 978-4102201619)

ジャンル:サバイバル・サスペンス

著者:イアン・マグワイア

1964年英国生まれ。マンチェスター大学で学び、サセックス大学で文学修士、その後ヴァージニア大学で博士号を取得。マンチェスター大学で名誉上級講師として創作と批評を教える。2006年『Incredible Bodies』で作家デビュー。『北氷洋』(The North Water )は、2016年ブッカー賞の候補作となり、ニューヨークタイムズの2016年度ベストフィクション5冊のうちの1冊に選ばれ

る。

訳者:高見浩(たかみひろし)

東京生まれ。出版社勤務を経て翻訳家に。主な訳書に『ヘミングウェイ全短編』『日はまた昇る』『武器よさらば』『移動祝祭日』『誰がために鐘は鳴る』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『カタツムリが食べる音』『眺めのいい部屋売ります』など。著書に『ヘミングウェイの源流を求めて』がある。