【エコ徒然】Vol.1 今年のノーベル経済学賞と温暖化問題
今年のノーベル経済学賞は「気候変動と経済の関係分析」への貢献ということで米イェール大のウィリアム・ノードハウス教授と、米ニューヨーク大のポール・ローマー教授に贈られるということが決まったようだ。
今から10年ほど前だろうか、地球温暖化問題が一気に注目を浴び、日常生活の中でも、エコバッグ、マイボトル、マイ箸など、流行のようになったのは記憶に新しい。
しかしながら、その関心も薄れてきた感があり、そういう意味では良いタイミングの受賞であったように思う。
さて、地球温暖化問題であるが、学者によっては「地球温暖化は心配ない」という立場の方もいらっしゃるようであるか、世界各地の写真、氷河の後退、キリマンジャロの冠雪の消滅などを見てみれば、温暖化は進んでいるという認識で間違いないんじゃないかと思う。
ただし、地球温暖化の原因については、CO2(二酸化炭素)の排出が主たる要因とされており、それはそれで正しいとは思うのだが、つきつめて考えるとちょっと正確ではないのでは、と感じるのだ。
アメリカの元副大統領だったアル・ゴアによる地球温暖化問題を広く世界に認識させた「不都合な真実」に「大気の薄い層がだんだん厚くなっている・・・」との記載があるように、地球温暖化の原因は地球を覆う空気の層が厚くなってきたために、地球の保温効果が高まってきたことにある。つまり、大気の層に温室効果がある。ということでる。大気の層を服に例えれば、簡単にイメージできるだろう。薄い服しか着てなければ寒いし、厚い服であれば暑い。単純にこういうことである。
「不都合な真実」には、次のような記載があった。金星を取り巻く温室効果ガスはあまりにも厚いので、人間には生きられないほど高温になり、火星のまわりには温室効果ガスはほとんどないので、人間には生きられないほど低温になる・・・。と。つまり、地球はちょうど良いのである。そして近年、この「ちょうど良さ」が失われようとしている。それは、大気の層が厚くなり温室効果が進んでしまう状況になってきてしまったからである。
「大気の層が厚くなる」ということはどういうことか、考えてみてほしい。実はすごく単純なのである。「固体だったもの、液体だったものが気体に変わってしまったので、大気の層が厚くなってしまった。」ということだけなのだ。
人間活動の中で石油や石炭などの化石燃料を燃やすことが、固体だったもの、液体だったものを気体に変えてしまう最もボリュームの大きい活動であったため、CO2が温室効果ガスということになっているのだ。
IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は 、このまま進めば世界の平均気温が早ければ2030年に1.5度高くなるという報告書を出している。これ以降も、この気温上昇1.5度以内に収めるためにはCO2の割合が高い石炭火力の割合を2050年ごろまでにほぼゼロにすることを提唱しているらしい。これは、固体・液体が気体化する量を減らすという目標といえる。
また、逆に気体を固体・液体に変えることができれば、分厚くなってきた地球を覆う大気の層をちょうど良い厚さに戻すことができるが、その方法にはどういうものがあるのだろうか?
それは、ずばり光合成だ。光合成といえば、小学生の理科で習った二酸化炭素を酸素に変えるというイメージだ。それに正確性を加えると、二酸化炭素を酸素と炭素に分離するメカニズムだということだ。中学か高校の頃に習った初歩的な化学式を思い出せば CO2 → C+O2 というのが思い出されるだろう。Cは炭素。O2は酸素。植物は光合成で酸素をきれいな空気として吐き出し、炭素を自分の体にする。つまり、ここで、気体だったCO2のCの部分が固体化されるのだ。
地球を覆うの気体の量が増えたのは、固体、液体だった燃料、石炭、石油が燃やされ気体に変わってしまったことに加え、森林だったところの開発がすすみ、固体だった木が失われ最終的には気体へと変わってしまったことによるものだといえる。
したがって、これ以上の温暖化の進行を防ぐには、CO2の排出を減らすだけでなく、気体であるCO2のCの部分を固体へと戻していくために、緑を戻していくということが大切なのだ。
10月1日 100年前の今日
100年前の今日 1918年10月1日 森永ミルクチョコレートが発売。
【読書徒然】 vol.9 クールな筆致とダークなユーモアのヒットマン「インターンズ・ハンドブック/シェイン・クーン」
子どものころから暗殺者として育てられ、企業のトップを暗殺する凄腕の殺し屋にまでなった主人公が、表向き人材派遣会社なのだが裏では派遣インターンよる要人の暗殺を請け負っている会社に入社してきた新入社員達に向けて残したハンドブックという形をとったスタイルの小説で、「インターンズ・ハンドブック 」という小説がある。
普段、めったにいかない本屋で、何気なく手に取った一冊だったが、掘り出し物だった。シェイン・クーンという作家のデビュー作なのだそうだが、デビュー作がいきなり面白い。
「なぜ、自分はここまで生き残れてこれているのか?」
このハンドブックの記述者である主人公ジョン・ラーゴは、「この仕事(暗殺)は、雇用主の状況が少し替わっただけも自分が用済みされてしまう可能性のある仕事である。」ということを、常に醒めた感覚で意識してきたこと、それが、直属のボスであろうとも心の底からは信じず、それがため、今、まだ死なずにいる。ということをダークなユーモアを交え、ハンドブックに綴っている。
死なずにこの仕事から無事リタイヤし次の人生を送るということが彼の目標なのだが、その社ではまだそれを実現できた者はいない。
デビュー作がいきなり面白かったのは、個人的には「火星の人」のアンディ―・ウィアー、この作品には及ばないもののこの「インターンズ・ハンドブック」もなかなかの作品である。
書名:インターンズ・ハンドブック (ISBN 978-4594079543 )
ジャンル:ダークコミック風スリラー
著者:シェイン・クーン (Shane Kuhn)
月は落ちてこないのか
中秋の名月なので月の話題。
米中間で月の開発競争が起こりつつあるニュースに触れることがある。
米中が主導するのか、あるいは国際的な月管理の枠組みが決まって国際管理になるのかは別にして、近い将来あるいは遠い将来、月資源が地球に運び込まれるようになるだろう。
SF的すぎるかもしれないが、一つ心配がでてきた。
月資源が運び込まれた分、地球の質量が増えることになる。
それが際限なく運び込まれた場合、今まで地球と月の間で保たれていた引力のバランスが変わってしまうということはないだろうか?
素人考えだが、質量が増えるということは、引力が増えるというということかというイメージを持っているので、そうなると月が落ちてくるということになりはしないか。
と勝手な心配をしているのである
【読書徒然】vol.8 今年を振り返るにはまだ早いかしれないが 「幻魔大戦/平井和正」
いよいよ平成が終わりに近づき、今年を振り返ると、例年に比べ、何かの変わり目という感じのニュースが多かったように感じられる。台風、大雨にしても異常気象ともいえるようなもので、地球温暖化の進行がいよいよ大きな影響を伴いものになってきたか?と思えるようなものであったり、世界の動きでは初の米朝首脳会談が開催されたりなど数多くあった。事件ではやはり、オウム真理教死刑囚の死刑執行だと思う。日本どころか世界をも震撼させた事件だったが平成という時代におこった日本での最大の事件だと思う。
オウムの事件がニュースで騒がれるようになった頃、そのニュースを見るたびに「まるで 幻魔大戦 じゃないか?」と感じたものだ。幻魔大戦とは平井和正によりSF小説なのだが、オウムでテレビに出てくるメンバーの雰囲気そのものが、幻魔大戦にでてくる組織「GENKEN」の雰囲気に重なって仕方がなかったのだ。小説では「GENKEN」はあくまでハルマゲドンに向けて皆の注意を啓蒙していこうという団体であり決してテロ集団ではないのであるが、来るべきハルマゲドンへの向き合い方から、テレビに出演している信者たちの雰囲気といい、すべてがドンピシャにはまっているのだ。オウムの出現を予言していたかのようにも思える小説なのだ。
今は古本やkindleでしか読めないかもしれないが、当時は文庫全20巻(1巻あたりのページ数はそんなに多くなく、20巻といっても大ボリュームという感じはない)で、最初の3巻ぐらいが、東丈(あずまじょう)を主人公としたスーパーサイキック(超能力者)達の超絶バトルであった。この部分は後にアニメ映画となっており、その映画の製作者たちの顔ぶれも、監督が、りんたろう。キャラクターデザインが大友克洋。声の出演が古谷徹、小山茉美、池田昌子、原田知世、美輪明宏、江守徹。音楽がキース・エマーソン。というすごい顔ぶれだった。
ところが、3巻で超絶バトルにいったん区切りがつき、4巻以降、これからくるであろうハルマゲドンに向け備えていくという展開になると、この小説の雰囲気が突如変わり、まるでオウムという組織の出現を予言したのではないかという感じのストーリーになってくるのだ。
3巻までのスーパーサイキックたちの戦いというシンプルで分かりやすかった話が、なんだかまわりくどく観念的な話になるので、「なんだこりゃ?」という感じるのだが、ハマると、4巻以降は非常に面白く感じられるのだ。むしろ、個人的には4巻以降が好きで、この部分こそ、この小説の本質だと思えるのだ。
また、オウムのメンバーたちもこの小説を読んでいたのでではないか?と思わせる雰囲気をもった小説で、この小説が彼らになんらかの影響を与えたとするならば、そういう意味では功罪をもった小説なのかもしれない。
幻魔大戦には続きがあり、この20巻の終了後、「真幻魔大戦」が出るのであるが、舞台が外国へと移り、オーソドックスなSF小説へと戻る。ただし、アイデアが枯渇してしまったのか、ストーリーが途中まで進んだところで、後続の巻が出ずに終了というか立ち消えになってしまった。その後、再開して完結したのだろうか?真幻魔大戦も非常に面白かっただけに、途中までしか読めていないのが心残りなのだが、再開して完結していたのであれば、改めて読んでみたいと思う。