【読書徒然】 vol.9 クールな筆致とダークなユーモアのヒットマン「インターンズ・ハンドブック/シェイン・クーン」
子どものころから暗殺者として育てられ、企業のトップを暗殺する凄腕の殺し屋にまでなった主人公が、表向き人材派遣会社なのだが裏では派遣インターンよる要人の暗殺を請け負っている会社に入社してきた新入社員達に向けて残したハンドブックという形をとったスタイルの小説で、「インターンズ・ハンドブック 」という小説がある。
普段、めったにいかない本屋で、何気なく手に取った一冊だったが、掘り出し物だった。シェイン・クーンという作家のデビュー作なのだそうだが、デビュー作がいきなり面白い。
「なぜ、自分はここまで生き残れてこれているのか?」
このハンドブックの記述者である主人公ジョン・ラーゴは、「この仕事(暗殺)は、雇用主の状況が少し替わっただけも自分が用済みされてしまう可能性のある仕事である。」ということを、常に醒めた感覚で意識してきたこと、それが、直属のボスであろうとも心の底からは信じず、それがため、今、まだ死なずにいる。ということをダークなユーモアを交え、ハンドブックに綴っている。
死なずにこの仕事から無事リタイヤし次の人生を送るということが彼の目標なのだが、その社ではまだそれを実現できた者はいない。
デビュー作がいきなり面白かったのは、個人的には「火星の人」のアンディ―・ウィアー、この作品には及ばないもののこの「インターンズ・ハンドブック」もなかなかの作品である。
書名:インターンズ・ハンドブック (ISBN 978-4594079543 )
ジャンル:ダークコミック風スリラー
著者:シェイン・クーン (Shane Kuhn)