【読書徒然】vol.2 火星舞台の最高の小説の一つでは?「火星の人/アンディー・ウィアー」
火星が15年ぶりに大接近するニュースを見て、この本のことがすぐに頭に浮かんだ。
「火星の人」 SFの超傑作である。
この作品、作者、アンディー・ウィアーが、WEB上にこの作品を発表していたのが、あれよあれよという間に評判になり、書籍化に至ったという。
評判になったというのは、読めばわかる。とにかく、面白いのだ。
火星に一人残された主人公が、悪戦苦闘しながら生き抜くストーリーなのだが、主人公が残す火星での日々の記録からにじみ出る主人公のキャラクターに自然と共感してしまい、読み進むにつれ、応援してしまっている自分に気づくだろう。
この作品は「オデッセイ」というタイトルで映画化された。
この映画も見たが、「読んでから見るか?」「見てから読むか?」という、小説などの映画化に必ず付きまとう問題を、意識させられてしまった。
映画はSF作品ということでいえば、いい映画なのだが、この原作本の良さ(テイスト)が全くうまく表現されておらず、映画を見た後、残念な気持ちになったものだ。
ただ、映画は見たが読んだことはない。という人には、一度読んでみてほしい。
書名:火星の人 (ISBN 978-4150120436)
ジャンル:SF
著者:アンディ―・ウィアー
アンディー・ウィアーはカリフォルニアに素粒子物理学者でエンジニアの息子として生まれた。15歳で国の研究所に雇われ、現在まで(2014年時点)プログラマーとして働いている。科学、特に宇宙開発に強い関心を寄せ、作家志望だったウィアーが初めて発表した小説が本書「火星の人」である。「火星の人」は、まず自らのサイトに公開され、その後キンドル版を発売。発売後3か月で35000ダウンロードを記録した、その後、2014年に紙書籍版が発売された。20世紀FOXにより監督リドリー・スコット、主演マット・デイモン映画化され、日本でも「オデッセイ」というタイトルで公開された。
訳者:小野田和子
青山学院大学文学部卒、英米文学翻訳家。訳書『エラスムスの迷宮』アンダースン、『火星縦断』ランディス、『シリンダー世界111』カストロ、『創世の島』ベケット、『最終定理』クラーク&ポール、他多数